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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)1923号 判決 1952年3月18日

本籍

岐阜県揖斐郡富秋村大字稲富二二番戸

住居

同県同郡大野町上野一一一一番地

売薬行商

後藤博保

明治二五年八月二五日生

右の者に対する食糧管理法違反、物価統制令違反被告事件について昭和二五年六月九日名古屋高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人矢野茂郎の上告趣意(後記)について。

原判決のいう「主観的事情」が、所論のような「前科者」であることを意味するとしているのは、根拠のない独断である。また、たとえ本件犯罪と罪質を同じくしない窃盗その他の前科があるという事実を被告人の過去の経歴、性行を知るための一つの資料として、量刑上斟酌することがあつたとしても、憲法一四条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二三年(れ)四三五号同年一〇月六日判決、集二巻一一号一二七五頁)に徴して明らかである。従つて所論は理由がない。

なお、本件につき刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。

よつて刑訴法第四〇八条に従い裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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